「バード・ハート・ビート 舞姫天翔!」 伊東京一

国定競鳥騎手になるのが夢の少年と謎の少女
ボーイミーツガールであり、少年の成長の物語
デカイ鳥が居て、それに乗って移動するのが普通な世界
主人公の国の王は愚王として有名で、聖教皇の操り人形だったり
首都である天都に行かなければいけないというヒロイン
主人公とその相方であるミルヴィルとの絆
様々な要素を含みつつ、ストレートに駆け抜ける
お約束な展開が盛りだくさんの王道落ちもの系

「たま◇なま 生物は、何故死なない?」 冬樹忍

第一回ノベルジャパン大賞《大賞》受賞作
鉱物生命体の宇宙人が、主人公を改造したり、「つがいになれ」と言ったりする話
この宇宙人はハルヒ情報統合思念体な感じで、死という概念が無い
500万年前から地球を観察していたが、今になって地球に下りてきたのは
自死の細胞が現れ、それが増殖し、存在が消滅しそうになったから
人間に例えると癌細胞が増殖して命が危なくなったみたいな感じか
そして地球に下りてきて破片になり、正常な細胞と自死の細胞が地球を舞台に争うことに


主人公と宇宙人の認識が一々ズレてて会話を面白くしてる
ちょっと風変わりなボーイミーツガールで、宇宙人は感情を知らないツンデレタイプ
なんつーか青春物としても良く出来てる、少し鬱になるけども
主人公が同級生の女子に感化されて明るく、そして前向きになって行くのが良いね

「世界は悪魔で満ちている?」 相原あきら

この世界には悪魔と天使がいて、思春期になると自分がそうであることを自覚する
天使には輪が、悪魔には尻尾が生えてきたりする、悪魔は世間にばれないように隠れている
これだけだとシリアスっぽいかもしれんが、基本的にはいい意味で頭の悪い文章
怒涛の勢いでネタだらけだし、相性が良くないと楽しめないだろうな
なにせあらすじで「脅迫から始まる抱腹絶倒のラブコメディ」とか書かれてるくらいだし


主人公はヒロインの尻尾を見てしまい、勢いで脅迫
最初はヒロインが突っ掛かることにより、主人公切れて脅迫って感じなのだが
最終的には主人公の言葉を拡大解釈して弁当作ってきたり、デートをしたり
どっちが命令してるのか分からない状態になる辺りが良いですね、ツンデレですね
主人公の過去に何かあったっぽい描写は有りつつも、ほとんど匂わす程度
2巻ではその辺が出てくるのだろうか?

「メディア・バイアス -あやしい健康情報とニセ科学-」 松永和紀

これは読むべき良書、目から鱗
どこどこから輸入したホウレン草から基準値の50倍の残留農薬がみつかった
という報道を聞くと、凄く危ない気がするが、元々基準値は人が摂取しても大丈夫な量の100分の1以下に設定してあるので、一度食べてしまったくらいなら余り問題はないらしい
それを一口でも食べれば命に危険があるように騒ぎ立てるメディアもある
その方が注目されるし、色んな人の目に止まりやすくなるしね


たとえ普段食べてる塩でさえ一日に1キロ摂取し続ければ病気になるし、死の危険があるわけで
発がん性があるからといって、何でもかんでも食べてはいけないと言うと何も食えなくなる
要は一日にどれくらいなら良いのか、という正しい知識が必要ということ
作用と副作用があるのは当たり前で、作用を上手く使いつつ、副作用を抑えるように管理するのが大事
健康に良いとされる食品も食べ過ぎれば毒になる


テレビの健康番組は色んな論文から継ぎ接ぎなどをして、なんとか新しい物を作り出そうとする
結果全体で見ると、なんら効果の無いものがほとんどということになるらしい
メディアにとって大事なのは視聴率で、視聴率を上げるためなら捏造でもやるので注意が必要だ


基本的にメディアは悪いニュースを報道する割合が多い
何々が危険という報道はしても、何々が安全という報道は余りしない
環境ホルモンが危険だといわれているときは、こぞって報道したが
危険では無いと分かったことに関しては報道されていない
逮捕されたことは報道しても、その後無罪になったことは報道しないのと同じように


後は箇条書きにて
・化学物質と呼ばれるものは、元々植物にも入っている
・農薬を使う方が、作物が自ら作る天然農薬の量が減って、安全になることもある
・安全性を確認できている合成着色料の方が、天然色素より安全で安価
・保存料不使用というと良い響きに感じるが、代用品を使っており、保存期間が短くなり、廃棄率が高くなり、値段が上がる
・遺伝子組み換え大豆は実験で安全が確認されている、危険を主張した博士は売名行為の可能性有り
トランス脂肪酸の規制論議には、国際的な政治の駆け引きが存在する
・「何々を食べれば……」という単純な情報は排除すべし

「ミッションスクール」 田中哲弥

ものすごく脈略無く唐突に展開するストーリーは凄い
なんていうか、夢をそのまま小説にしたらこうなるかもって感じ
夢って脈略がないし、その上突発的に変なことが起こったりする
その上明らかに変なのに、夢の中ではその変さに気がつかなかったりとか
そういうごちゃごちゃした感じなんだよね、独特かつ個性的
凄く好きかどうでも良いかのどちらかになりそう、範囲は狭いけど深いみたいな

「チーム・バチスタの栄光」 海堂尊

医療物といえば良いのかな、そしてミステリ
今までずっと失敗が無かったチーム・バチスタが3回連続で失敗
果たしてこれは偶然なのか、それとも殺人なのかっちゅう話です
田口という医者が主人公、話は彼の視点で最後まで行くので読みやすいと思う
前半は田口が関係者を訪ねていくパート、そして後半は白鳥という人物が出てくるんだけど
この人物が、本当に破天荒で、周りの人が振り回される
そして最後には解決するんだけど、読んでて面白かった
実際に居たら絶対近づきたくないんだろうけどなw

「約束の柱、落日の女王」 いわなぎ一葉

才能ある主人公カルロが、2000年前にタイムスリップしてしまう
そこで、もうすぐ滅びる国の女王に取り入り、情報を集めようとするという話
こういう国興し的な話は大好物なので、一気読みしてしまった
一言で言っちゃえば時を越えたボーイミーツガール
この出会いによって、主人公と女王はどう変わっていくのか
ってところがこの本の肝です、凄く綺麗な終り方をしてくれます
続巻があると知って、どう続けるんだろう? と思ったくらい