「メディア・バイアス -あやしい健康情報とニセ科学-」 松永和紀

これは読むべき良書、目から鱗
どこどこから輸入したホウレン草から基準値の50倍の残留農薬がみつかった
という報道を聞くと、凄く危ない気がするが、元々基準値は人が摂取しても大丈夫な量の100分の1以下に設定してあるので、一度食べてしまったくらいなら余り問題はないらしい
それを一口でも食べれば命に危険があるように騒ぎ立てるメディアもある
その方が注目されるし、色んな人の目に止まりやすくなるしね


たとえ普段食べてる塩でさえ一日に1キロ摂取し続ければ病気になるし、死の危険があるわけで
発がん性があるからといって、何でもかんでも食べてはいけないと言うと何も食えなくなる
要は一日にどれくらいなら良いのか、という正しい知識が必要ということ
作用と副作用があるのは当たり前で、作用を上手く使いつつ、副作用を抑えるように管理するのが大事
健康に良いとされる食品も食べ過ぎれば毒になる


テレビの健康番組は色んな論文から継ぎ接ぎなどをして、なんとか新しい物を作り出そうとする
結果全体で見ると、なんら効果の無いものがほとんどということになるらしい
メディアにとって大事なのは視聴率で、視聴率を上げるためなら捏造でもやるので注意が必要だ


基本的にメディアは悪いニュースを報道する割合が多い
何々が危険という報道はしても、何々が安全という報道は余りしない
環境ホルモンが危険だといわれているときは、こぞって報道したが
危険では無いと分かったことに関しては報道されていない
逮捕されたことは報道しても、その後無罪になったことは報道しないのと同じように


後は箇条書きにて
・化学物質と呼ばれるものは、元々植物にも入っている
・農薬を使う方が、作物が自ら作る天然農薬の量が減って、安全になることもある
・安全性を確認できている合成着色料の方が、天然色素より安全で安価
・保存料不使用というと良い響きに感じるが、代用品を使っており、保存期間が短くなり、廃棄率が高くなり、値段が上がる
・遺伝子組み換え大豆は実験で安全が確認されている、危険を主張した博士は売名行為の可能性有り
トランス脂肪酸の規制論議には、国際的な政治の駆け引きが存在する
・「何々を食べれば……」という単純な情報は排除すべし