遠まわりする雛

古典部シリーズ第四弾、今回は短編集
省エネがモットーの主人公、折木奉太郎
千反田の好奇心に引っ張られ日常の謎を推理していきます


「やるべきことなら手短に」
入学してすぐの話、七不思議から始まる推理
妙に主人公が積極的に謎の解明する理由とは?


「大罪を犯す」
古典部に四人が揃った頃の話
なぜ先生は授業の進捗状況を間違えたのかを推理
ちなみに大罪とは「暴食」「色欲」「強欲」「憤怒」「怠惰」「嫉妬」「傲慢」
奉太郎が普段犯している罪は「怠惰」、そして今回犯しそうになる罪は?


「正体見たり」
古典部シリーズの1巻である「氷菓」のすぐ後の話、温泉宿で夏合宿
伊原と千反田が離れの部屋の窓に幽霊を見たという、その正体とは?


「心あたりのある者は」
奉太郎と千反田が放課後に、スピーカーから流れてきた『十月三十一日、駅前の巧文堂で買い物をした心あたりのある者は、至急、職員室柴崎のところまで来なさい』という放送を元に推理する
生徒が呼び出された理由とは? そして、推理ゲームをすることになった理由とは?


「あきましておめでとう」
正月、荒楠神社に初詣に行く、奉太郎と千反田
そこで納屋に閉じ込められる、しかし大声を出して変な誤解を招くわけにもいかない
この心理的密室から抜け出すために、大声を出したりせず
知り合いに納屋に閉じ込められてることを伝える手段とは?
これの伏線が「正体見たり」にあったりする


「手作りチョコレート事件」
伊原が部室に置いていたチョコレートが盗まれた
盗んだのは誰か? なぜチョコレートを盗んだのか?


遠まわりする雛
祭事で通らなければいけない橋が、工事中で通れない
工事を遅らせるように手配していたはずなのに、なぜかキャンセルされたという
誰がそんなことをしたのか、何故そんなことをしたのか?


以上七つの短編、この中で俺が面白いと思ったのは
「心あたりのある者は」「あきましておめでとう」の二つ
特に前者は放課後の部室で二人で会話するだけというシンプルな構成が良い
いわゆる安楽椅子探偵に近いかな、動かずその場にある証拠だけで推理していくし
推理作家協会賞短篇部門にノミネートされるだけのことはあります

それと「手作りチョコレート事件」「遠まわりする雛」の二つは
古典部シリーズでこういう話をやるとは、っていう驚きが
こういうの書いて続けていけるんだろうか? 今後の折木奉太郎を書くのが大変になりそうな気がするのだが。しかしこういうのがあるからこそ青春ミステリなんだけどね、これが最終で今後このシリーズは出ないなんてことだけは勘弁してほしいな、と思う次第であります
続きが出るなら、次は2年生になった四人が見れそうですね。とすると新キャラの後輩が、という可能性もゼロではないな、まあ出ないだろうけどw