七回死んだ男

いや〜面白かった、西澤さんは特殊な状況でのミステリを沢山書いてる人で
超能力を使った犯罪の捜査をする「超能力事件簿シリーズ」や人間をコピーする壁が登場する「複製症候群」などを読んだ事があるのだが、どれもこれも不可思議で面白い、SF推理物を書く著者として有名


この話は同じ日を9回繰り返す男の話、主人公は時々同じ日を9回繰り返してしまう体質で、その状態のことを反復現象、その状態になったときのことを〝反復落とし穴〟に落ちたという
そして最初の日のことを一週、次を二週と数えて八週、最終週と数えていく
一週目はオリジナルの日、つまりこうなるはずだった日である
二週〜八週は何をしても〝リセット〟されてしまう
最終週は決定版の日、この週が全ての人に取っての〝その日〟となる
この特殊性を踏まえて物語は進む


一月二日に普通に過ごして家に帰る車の中で眠った主人公は、ふと気づくと母屋で寝ていた、そして階段を降りてみると昨日と同じ光景、また落ちてしまったのだと気づく主人公、一週目にしこたま飲まされて気分が悪くなったので祖父と飲むのを避ける主人公、ところが一週目で起こらなかったはずの殺人事件が起こる、犠牲者は祖父
三週目で犯人を祖父から遠ざけるも、今度は別の人が祖父を殺してしまう、防ごうとしても何故か祖父は毎回殺されてしまう、何故毎回祖父は殺されるのか? 果たして主人公は祖父を助けることが出来るのか?
というのが本筋、いやあ、かなり面白いよ
状況によって人の反応が違うのも面白い、同じ人でも場合によって全然違う行動を取るし、思いがけない面が表れたりするのを楽しむのもこの本の醍醐味だと思う
二週から八週はリセットされるから、強引な手を使っても元通りになるというのも良い
そして全ての謎が解けて行くときのカタルシスは素晴らしいね
最後にはちゃんと、どんでん返しが待っている