「日本は世界で第何位?」 岡崎大五

様々な世界ランキングを通して日本を見てみようというコンセプトの本
日本人が思ってるほど日本って小さい国じゃないというのが分かる。人口だと世界10位だし、面積でも上から三分の一くらいの順位、上から数えた方が早いわけで、大きいとは言えなくても小さくはない広さ。なのに何故か狭いと感じるのは森林が多いから、平野が少ないのが理由だね
だけど、家の広さも世界で5位、意外に日本の家も広いみたい。俺らが想像する外国のでかい家ってのは完全にアメリカのことで、ヨーロッパの家はそんなに広くないらしい。欧米ってひとくくりにすると見誤るってことですね、アメリカとヨーロッパって実は結構違うみたいだ
まあ、こんな感じでいろんなランキングでの日本の順位とかが載ってて面白いよ

「DOORS 1 まぜこぜ修繕屋」 神坂一

朝起きたら、家中にドアがあるし、妹が五本の尻尾を持つリスになっていた
という出だしで始まる、まあ完全にギャグの連作短編
学校に行っても何もかもが変で、どうやら変に思っているのは自分だけらしい


そんな変わってしまった世界を直そうとしているシュリン曰く
少しずつ違う異世界が混ざり合ってしまったために、こうなったらしい
それを治すためには、沢山あるドアから異世界に行き
鍵になる人物を探して、シュリンの持つレンチを3回触れさせなければならない
そうやって少しずつ世界を修正していくしかないのだが
修正すると環境が変わって、主人公が戸惑うことになる
ならば一緒に修正すれば、そんな問題は起こらないというわけで
彼と一緒に主人公とリスになった妹は異世界に旅立つ


まあ、よくこんな変な話を考えたなと思うくらい変な設定が山ほど出てくる
江戸時代から文明開化せずに近代化した感じの日本とか
行き過ぎた妹文明により人類が滅びかけている世界とか
でも一番面白いのは二話の妹が触手になってしまう話
それを修正するために主人公は鬼に、いや、神や悪魔すらも超えそうな勢いで
魔王を倒すシーンは最高でした、これにはニヤニヤさせられた
短編で読みやすいし、面白いし、お薦めです

「カレイドスコープのむこうがわ」 三木遊泳

主人公の前に現れた美人な祓い師は、主人公が同調者だという
祓うためには同調者の協力が必要なので手伝えと強要してきた
という感じで始まる短編連作、第6回電撃hp短編小説賞銀賞受賞作だそうです


この作品の魅力は独特な主人公の一人称とキャラクター達
特に井上志帆は出番は少ないながら、「義理じゃないけど、チョコいる?」などの印象的な台詞を残してるし、報われないながらも主人公にアプローチする健気な姿が萌える、主人公も少しずつ成長していくのが良い
幽霊とか出てくるけど、基本的にほのぼの系
祓うのは1話と2話だけで、3〜5話は祓ってないしね
こういうタイプの物語はギャグかシリアスなバトルが多いだけに
このほのぼの感は大きな魅力だと思います

「人類は衰退しました」 田中ロミオ

既に人類は衰退期に、代わりに地球で主流になったのは体長10cmくらいの妖精さん
一夜にして未来的SF都市を作りあげたり、輪ゴム動力でペーパークラフトの恐竜を動かしてみたり
ものすごい技術を持っているものの、一週間くらいで飽きて散っていくという、熱し易く冷め易い性質
主人公は人類最後の学校を卒業した少女で、調停官として彼らの生態を観察することに
妖精さんたちの行動が一々コミカル、癒し系って言うのかねー
読んでてマザー2のどせいさんを思い出したのは俺だけじゃないはず

「リヴァースキス」 佐野しなの

朝起きたら主人公は女になってて、元の身体には別人が入っていた
そいつはせめて自分の好きな人とキスしてからじゃないと成仏できない
という理由で身体を乗っ取ったらしい、しかも今の主人公に一目惚れ
さらに親友まで女になった主人公に一目惚れ
その他、出てくるキャラも変な奴ばっかりで、主人公が総ツッコミ
という、ドタバタ漫才コメディって感じの作品でございます
ただし、女になった挙句、自分の身体に迫られるという展開なわけで
人によっては生理的嫌悪を感じる可能性がある点に注意だな


俺は時々出てくる雑学なんかが、かなり好き、特に兎の奴
ラストはこのドタバタがまだしばらくは続きそうだ、ってモノローグと
主人公のため息という感じで終るのかな〜、とか思ってたのですが
ところどころ入っていたアノ話はこれの伏線だったのか、とか
最後の二行で、この「リヴァースキス」というタイトルには二つの意味があったのか
って感じで、全ての糸が繋がる中々良いラストでした

「ある日、爆弾がおちてきて」 古橋秀之

SF短編集といった趣の一冊、評判なだけあってどれも良い
メインテーマとしては「普通の少年と不思議な少女」というのがあり
サブテーマとして「時間」が係わってくる、個人的には7つある短編の内
「おおきくなあれ」「三時間目のまどか」「むかし、爆弾がおちてきて」の3つが好き
「おおきくなあれ」は「幼馴染」と「逆行」という組み合わせが秀逸だし
「三時間目のまどか」は乙一の「Calling You」を彷彿とさせ、その上ハッピーエンド
「むかし、爆弾がおちてきて」はラストを飾るにふさわしい綺麗さ

「「世界征服」は可能か?」 岡田斗司夫

何故悪役は世界征服を企むのかを割かし真面目に検討する本
悪の総帥を四つのタイプに分けて考察したりと、なかなか面白い
結論的には、現在の世界で世界征服をするのは割りに合わないってところかな
そんな才能があるなら、普通に表の世界で成功することが出来るし